ToSUe's Bibliothek

腎臓、透析、リウマチ・膠原病を専門とする内科医です。面白かった本や日々感じたことの他に、個人的に関心がある腎病理に関する論文なども紹介していきます。

本年5月に「医のアート」(http://www.chugaiigaku.jp/item/detail.php?id=2827)の出版で話題になった塚原先生が、またまた新作を刊行されました。

 

「腎臓診療の考具箱 臨床に役立つ148本」
今井直彦 (著), 塚原知樹 (著)
メディカルサイエンスインターナショナル (2019/9/30)
http://www.medsi.co.jp/books/products/detail.php?product_id=3710

 

前作から数ヶ月後には新作、という超ハイペースの出版に本当に驚かされますが、内容もまたとても面白くて勉強になる一冊になっています。

(まず、’考具箱’というタイトルからしてカッコいいです。)
今回は塚原先生の専門分野である腎臓領域の本です。共著者は腎臓内科医では知らない人はいないというくらい、何冊も腎臓領域の本を執筆されている聖マリアンナ医科大学腎臓内科の今井直彦先生という最強タッグによる一冊です。

本の内容ですが、腎臓内科が考えを巡らせるとき、考えをまとめるとき、そのツールとなる知識や論文を厳選して集めたものになっていて、CDのベスト盤のような感じです。
腎臓内科だけでなく、むしろ一般内科の先生が腎機能障害について敬遠しがちな薬剤の使い方や、塩分・カリウム制限、高齢者のCKDなど、プライマリ・ケアの現場でとても役に立ちそうな内容が満載です。目次を開いて小見出しを眺めているだけでも楽しくて、読んでみたくなるものばかりです。
とはいっても、プライマリ・ケア医向けの本かと言えば、断じてそうではありません。
腎臓内科にとってもこれまで「良いこと」と盲信していたプラクティスの真偽や、都市伝説的に言われているけど本当のところはどうなのか?といったかゆいところに手が届く知識も満載であり、とてもとても読み応えがある一冊でした。(これを読んだ研修医の先生が腎臓内科に回ってくることを想像すると、強烈な突き上げをくらいそうで恐ろしいです。)

 

 さらに驚くべきは、塚原先生は前作に続きこの分量の原稿を電車の中でスマホを使って書いていることです。スキマ時間も有効に利用して勉強した知識を出版を通してシェアし、塚原先生は本当に素晴らしい教育者だと思いました。

 

腎臓内科だけでなく、一般内科や研修医の先生、学生さんにも広くお勧めしたい一冊です。

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