ToSUe's Bibliothek

腎臓、透析、リウマチ・膠原病を専門とする内科医です。面白かった本や日々感じたことの他に、個人的に関心がある腎病理に関する論文なども紹介していきます。

書籍紹介【臨床がわかる腎生理】

臨床医になって、あるいは腎臓内科になって最初のうちは電解質の本や腎生理の本をたくさん買い込んできて読んでいました。この分野には名著と言われるものがたくさんあって、私自身も繰り返し読んでいる日本語の教科書だけでもパッと思いつくもので10冊くらいあります。

それに加わる一冊が本日ご紹介する本です。 

臨床がわかる腎生理

臨床がわかる腎生理

 

 

もとは英語「Renal Physiology: A Clinical Approach, Mark Zeidel著 」という教科書ですが、その日本語訳版です。
臨床医のために特に必要な生理学の知識についてまとめられているのですが、とにかく、わかりやすくて、かつ、面白いです。

中でも興味深く読んだのが、第3章「形態が機能を決定する」の項です。
腎臓内に分布する血管の階層に始まり、糸球体や尿細管を構成する細胞のひとつひとつの構造と機能について解説が加えられていきます。
こうした、Structure(構造)-Morphology(形態学)-Function(機能)へと掘り下げていくアプローチはこれまでにも多くの教科書で踏襲されているのですが、この本ではときどき思い出したように差し込まれる臨床的なエピソードがスパイスとなって、とてもテンポよく、かつわかりやすく論が展開していきます。この本が本当に臨床医向けに書かれていることがよくわかります。

分量もコンパクトで初期研修医の先生や学生さんにもおすすめです。

 


 

(追記) 研究会で監訳者の上原先生にお目にかかる機会があり、サインをお願いしたところ快く書いていただきました。

 

[今日のBGM] 映画「Free Willy」の主題歌です。中学生の時にリアルタイムで聴いて、曲の美しさに感動しました。

Dangerous

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