【糖尿病性腎症の診かた, 考え方】
和田隆志・柏原直樹(編)
中外医学社
[所感]
書店で目次を見て、基礎研究の知識から治療まで「一冊丸ごと糖尿病性腎症!」な内容に魅力を感じて購入しました。中でも白眉だったのが、[糖尿病性腎症の病理所見の定義]と[バイオマーカー]の章でした。
病理の章では、病理専門書並みにしっかりと病変の成り立ちや背景分子から記述され、その臨床的意義の解説も非常に詳細で、孫引きしたい引用文献もたくさんありました。
バイオマーカーの章では、尿中や血中で測定可能な臨床的なマーカーと、遺伝子などの基礎研究レベルにはっきりと項が分けて記載されていて、臨床で実用段階に入っているマーカーに関しては予想される腎臓の障害部位(糸球体or尿細管)など、病理所見を補完する記載もあり、病理の章とあわせて相補的内容で知識の整理にとても役立ちました。
他にも、実臨床での薬剤選択のエビデンスや、チーム医療などの診療体制に至るまで章立てで解説されており、糖尿病性腎症を体系的に学ぶにはとても良い本だと思いました。
[今日のBGM] 私の中で、「冬」を連想させる一曲です。
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