ToSUe's Bibliothek

腎臓、透析、リウマチ・膠原病を専門とする内科医です。面白かった本や日々感じたことの他に、個人的に関心がある腎病理に関する論文なども紹介していきます。

【オンコネフロロジー -がんと腎臓病学・腎疾患と腫瘍学-】

 このところ、腎病理の研究会に参加すると必ずと言っていいほどの頻度で
抗がん剤使用後の腎障害の腎生検症例」のプレゼンテーションがあるほど[悪性腫瘍と腎障害]関連の話題は目にする機会が増えています。腎臓学会に参加してもやはり同様のテーマでのシンポジウムが毎回のようにあります。
 その背景として、分子標的薬も含めた各種悪性腫瘍に対する様々な薬剤の種類の増加に比例して腎障害の報告も増加傾向であり、腎臓内科医としても理解を深めて置く必要がでてきています。そこで、体系的に学べる教科書は何かないかと思って購入した一冊です。

原著タイトル『Onconephrology: Cancer, Chemotherapy and the Kidney』の翻訳版です。 

オンコネフロロジー がんと腎臓病学・腎疾患と腫瘍学

オンコネフロロジー がんと腎臓病学・腎疾患と腫瘍学

 

 悪性腫瘍と腎障害というと、
[1]悪性腫瘍そのものに合併する腎疾患(固形がんの膜性腎症や血液疾患のアミロイドーシスなど)
[2]癌化学療法による腎障害(白金製剤による尿細管障害、VEGF阻害薬によるTMAなど)
これら2つに大別されると思います。

この本では、それぞれの成因や合併する頻度、障害のメカニズム、症例提示、よく見られる病理像などがこれでもか!というくらいにまとまっています。

 先述のように、近年では分子標的薬の種類も爆発的に増え、腎臓内科としても[化学療法後のAKI]でコンサルトを受ける機会が増加しています。新薬の種類が多いだけに、相談のたびに「ええっと、〇〇という抗癌剤での腎障害の報告は、、、」とPubmedで慌てて調べる状態でしたが、この本では少数例報告も含めかなり最近の報告まで紹介してくれています。

勉強用にも、辞書的なものとしても、買って良かった一冊でした。

 

[今日のBGM] ボーカルは、やっぱり初代のほうが好きです。

EVERYTHING'S GONNA BE ALRIGHT

You tube '' sweetbox everything's gonna be alright ''で検索