ToSUe's Bibliothek

腎臓、透析、リウマチ・膠原病を専門とする内科医です。面白かった本や日々感じたことの他に、個人的に関心がある腎病理に関する論文なども紹介していきます。

溶連菌感染後糸球体腎炎とそれ以外の感染後糸球体腎炎の病理像や予後に違いはあるか?

溶連菌感染後糸球体腎炎(post-streptococcal acute glomerulonephritis; PSAGN)とそれ以外の感染後糸球体腎炎(Non-PSAGN)の病理像や腎予後に違いはあるのでしょうか?
この疑問に対し、Srisawatらは少数例ではありますが比較検討をおこなっています。

 

【原著】

The Clinicopathology and Outcome of Post-Infectious Glomerulonephritis: Experience in 36 Adults

                [J Med Assoc Thai 2006; 89 (Suppl 2): S157-62]

 

 年齢やCrなどの背景因子は有意差がない状態で比較しても、PSAGNの方が血清C3低値を示す症例が圧倒的に多いこと(85.3%vs26.7%)、病理所見の半定量的スコアリングでは管内増殖を示す糸球体割合がPSAGNで有意に高いこと、それにもかかわらず末期腎不全(ESRD)に至った症例は全例Non-PSAGNの症例ばかりでPSAGNは一例もESRDに至らなかったことなどが示されました(ESRDについては、Non-PSAGNの症例の方が腎生検の時点での全節性糸球体硬化の割合の半定量的スコアが7倍ほど高く、これが長期予後の悪化に寄与したと考えられます。

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                              [原文より引用]

 

【今日のBGM】これまでアヴリル・ラヴィーンヴァネッサ・カールトンの曲を紹介しましたが、この二人がくれば、同時代に活躍したこの人です。

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